北海道の花の山
今回の目的は、その特殊性が注目されているアポイ岳です。わずか810.6メートルしかないにもかかわらず、橄欖岩質と海からの濃い霧のお陰で、アポイ岳の固有種や変種が多くて、高山植物の宝庫になっています。実際持ってみた橄欖岩は、ずっしりと重みを感じました。世界で二番目に重い石だそうです。一番重いのは、ウラル山脈にある石だそうです。
千歳空港からバスに乗って一路アポイ山荘へ向かいました。途中で襟裳岬へ寄ることは予定に入っていました。でも、その前に平取(びらとり)町の、すずらん群生地に立ち寄ってくれました。普通の車なら簡単にすれ違える道ですが、バスとなるとちょっと大変な道を入っていきました。すずらんの匂いに酔うほど、たくさん咲いていました。
襟裳岬は普通は霧と風が凄くて、晴天は少ないと聞いていました。ところが、お天気は良いし、風もそんなにきつくありませんでした。空と海が真っ青で、それはそれは素敵でした。灯台、みやげ物屋、風の館だけがポツンとありました。折角お天気がよいのだからと、時間をゆっくりと取ってくれたお陰で、岬の先端まで行くことが出来ました。
翌朝は、5時出発と聞かされたので、早々に床についたのですが、お布団が厚すぎて寝苦しかった。他の人も、着ないと寒いし、着ると暑くて寝苦しかったそうです。でも、気持ちは山へと向かっているので、全員元気に出発しました。実は、案内人が遅れてきたのですが、時間どおりに出発しました。熊よけの鐘が、あちこちに設置されていました。後で知ったのですが、前日には一合目まで出没していたそうです。
アポイ岳は最初かなりなだらかな道が続きます。また、結構森林の下を歩くので、暑さを感じずに登れました。案内人にいろいろと植物の名前や性質を説明していただくはずでしたが、グループの中の詳しい人に教えてもらいながら登りました。オオサクラソウ、ツマトリソウ、ゴゼンタチバナなどが、まず出迎えてくれました。
オオサクラソウ ツマトリソウ ゴゼンタチバナ
五合目まで登ると、眼下に素晴らしい海が広がっていました。そこで、途中で追いついてきた案内人の話を聞きました。ここから上は、何一つもって帰らないで下さいと言われました。重さを確かめた石ころももちろんです。この橄欖岩は、場所によっては綺麗なブルーの色を放っていました。
五合目から上は、ヒロハノヘビノボラズやアポイアズマギク、ハクサンチドリなどが、次々と姿を現しました。馬の背には、いっぱいミヤマオダマキが咲き誇っていました。ハイマツの中に咲いている状態なので、いずれはハイマツに飲み込まれてしまうでしょう。
山頂はダケカンバに覆われています。ハイマツの上にあるので、何だか奇妙な気がしました。風が強いから幹も曲がっているし、背もそんなに高くないので、少しは眺望が望めました。馬の背から山頂までは、高山植物がいっぱい咲いていました。
花の写真の上にカーソルを置いてください。名前が出ます。クリックすると大きくなります。
幌満お花畑の方へ回りました。盗掘のひどいところで、監視カメラが置いてありました。でも、盗掘する人は、霧の深いときに来るので、カメラには写りません。ヒダカソウは、わずか一輪しか見当たりませんでした。花期が終わっていたのが残念でした。ヒダカソウは、キタダケソウやキリギシソウの仲間ですけれど、いずれも数が大変少なくなっているそうです。
幌満お花畑へ行く道は、笹にいるダニが服につくので、よく祓うように言われました。結構大きなダニでした。周りの人と点検しあいました。この辺りは、ハイマツに押されて、お花畑が大変小さくなっていました。
翌日は、オロフレ山へ出かけました。標高1230.8メートルですが、車で930メートル地点までいけるので、すごく楽に行けます。ここは、シラネアオイの山です。大量の花に圧倒されました。シラネアオイの群落が、これでもか、これでもかと言うくらいにあるのです。あの綺麗なブルーが、カメラで写すとなかなか表現できません。
サンカヨウ、ツバメオモト、ヒメイチゲもとっても可愛らしく咲いていました。
頂上から羊蹄山も望めました。私のカメラでは、残念ながら荒い画像でしか写りませんでした。洞爺湖方面をタカネザクラ越しに写してみました。後のは帰りに寄った支笏湖から眺めた樽前山です。
帰りの飛行機は、気流が乱れていたので、ほとんどの時間シートベルト着用サインが消えませんでした。家に帰り着いたときは雨が降っていなかったけれど、雷が鳴って大分雨が降ったそうです。
(2003.6.13 掲載)